(4)ついにリッターバイク、過激な高性能車とともに過ごした日々
こうしてついに、横浜で大型自二免許を取得しました。
そもそも僕のような運動神経の鈍いものにとって、身体を使うものの取得は、自分の呑み込みの悪さを考慮しておかねばなりません。
考慮して、いや考慮しすぎて、小型自二(札幌)、普通自二(奈良)、大型自二(横浜)と、無駄に刻んでしまいました。
なおこの頃でしたか、古い友人から「uenoはどうして、再びバイクに乗り始めたの?」って、訊ねられたことがあります。
学生の頃から単車が好きだったのが理由ですが、“こういう身体を使うものは、何でも身体が動くうちに始めておかないとダメ”という、強迫観念も理由としてあります。(もちろん何だって始めるのに遅いことはないのですが。)
そんなこともあって大型自二免許を取得したときは、ついにここまで来たという達成感と、身体が動くうちに取得できたという安堵感とで、感慨めいたものがあったことを記憶しています。
さて愛機の話に戻りまして、次の愛機は、HONDAのX-Eleven でした。
輸出仕様では、CB1100SFというサブネームも付されている、スポーツバイクの中でも風防のない、Nakid(ネイキッド)と呼ばれるカデゴリーです。
排気量1100ccのDOHC4気筒。
がっと口をあけたような迫力のあるラジエーターの意匠に惚れました。
「免許とったら、大きいのに乗り換えたい気持ちもわかるわ。」という嫁さんの一言にも押されて、2000年に赤髭・市が尾店で新車を購入。
店員さんが陸運局で気を利かせて、車名と同じナンバープレート(「横浜・・11」でした)を付けてくれたのが、思い出の始まりでした。
猛牛を思わせる圧倒的なトルクと、信頼性抜群のコンバインド(前後連動)ブレーキ。
車重(222kg)はあるものの、ステムの高さも奏功して、走り出せば軽快な操縦感。
タフなエンジンと粗野なトランスミッション。
乗り心地と燃費は意外に良くなかった、性能重視の巨大ネイキッド。
…これが、HONDA、X-Eleven です。
そもそも大型自二もリッターバイク、つまり1,000ccを超えると、それ以下とは別ものの存在感です。
周囲の交通を一瞬で置き去りにできるその出力は素晴らしく、貫録というか、大げさに言えば「公道の王者」という風格。
またとばさなくても、本気を出せば追い抜けるという優越感は、安全運転とゆとりを生みます。
そんなリッターバイクのなかでも、このX-Elevenは、特に性能重視だったような気がします。
X-Eleven、国内仕様は1,000台限定でした。
輸出仕様車の2,060台を足して、合計で3,060台が生産されたようです。(ただしこれは「公称」という数字のようで、メーカーの方に伺うと、生産ラインの現場では、けっこうおおまかなようです。)
僕が購入したのは、その逆輸入車のほう。
HONDAの浜松工場で生産した輸出仕様車を、いったん輸出手続きをとってから、輸入車として登録するのが、逆輸入車です。
当時の国内仕様にあった馬力規制もなく、なんと140馬力もありました。
140馬力で、車重222kg。
燃料タンク22L、燃費は11km/Lというところでした。
当時のHONDAはCBR1100・SUPERBLACKBIRDという世界最高性能を謳った超高速車を生産しており、X-Elevenはそれの兄弟車にあたります。
製作も、浜松工場の選りすぐられた熟練工が製作していました。
このX-Elevenも見事な出来栄えで、工業製品としての品質は抜群でした。
ただヒット作だったSUPERBLACKBIRDとは違って、
X-Elevenは珍車の部類です。
画像は、購入したての頃。
栃木県茂木にある、ツインリンクもてぎのHONDAコレクションホール(単車の博物館)の前で。
HONDAということで、オーナーとしては“もてぎ参り”をきどって。
ネイキッド型としては、当時は世界最大級のサイズであることがよく分かる一枚です。