このR178・美ヶ原和田線は、久しぶりに走り応え、いや落ち応え(?)のある山道でした。
よく舗装をしたなぁと呆れるほどの急傾斜。
路面じたいも凸凹として、極端に荒れています。
何より周囲の森が暗くじめじめとして、圧迫感があります。
箱根をご存じの方には、長尾峠をうんと急傾斜にしたと言えばお分かりいただけるかもしれません。
もちろん撮影なんか不可能。
坂を下りきって中仙道の和田宿本陣に出たときは、正直ホッとしました。 (矢印が、いま下りてきたR178・美ヶ原和田線)
このあと国道142号線、152号線とたどって、むし暑い上田へ逆戻り。
気温32度のなか、16:40には「ルートイン上田(右)」に到着しました。
ホテルのフロントの女性に愛機を停める場所を訊ねると、「玄関わきの軒下に置いていいですよ」とのこと。
ところがこの場所が、本館のガラス窓の前。
ガラスは乳白色のフィルムで見通せないようになっていたのですが、何となく怪しい。
そこでここに停めるのはやめて、クルマと同じ駐車場に停めました。
愛機のトリップメーターを見ると、総走行は373km。
コンビニエンスストアで晩ご飯と寝酒を仕入れると、部屋で天気予報をチェックします。
信州の天気予報はと… えっ? あしたも晴天のはずじゃないの?
予報が変わっていて、あしたは昼前から雨になるようです。
ヘルメットの風防にはっ水スプレーを塗って、防水くつ下とネオプレーンゴムの手袋を準備して、あとは多めに寝酒を飲んで布団をひっかぶりました。
2013年7月12日(土) 曇天(雨) 現地気温28度
起床すると、まず大浴場に。
明るい浴室には乳白色のガラス窓があって、外の人影が影絵のように見えます。
やっぱりあそこに駐車しなくて良かった。
朝食バイキングをたっぷり食べて外に出てみると、曇り空で、雲が黒く、低いところに。
空気もひやっとしていて、肌もオゾンを敏感に感じます。
せっかくの一泊ですが、きょうの予定はあきらめて帰路につくことにしました。
「彼のオートバイ彼女の島」で、ミーヨがなぜオートバイに乗るの?と訊ねたときに主人公コオがこんなことを答えます。
“毎日が退屈だと何事も自分の意のままに適当にごまかしてしまうけど、オートバイは適当にごまかすことはできない、ごまかしていると必ずしっぺがえしが来る、だからオートバイに乗るんだ”
曇り空を見上げた僕も “どうにかなるさというごまかしは効かない” そんな気持ちでした。
やっと見つけた主人公との共通点。
7:30に上田を発ち、上信越道にのります。
はたして佐久小諸あたりでは小雨に遭いましたが、決断が奏功したのか、それ以上に悪いことにはなりませんでした。
帰宅は11:40。 この日は235kmを刻み、二日間の累計は608kmになりました。
旅のあとに旧友がこんなメールをくれました。
「人生、悔しいなぁと思う事は、使える時間が限られていると言う事です。 読みたい本もいっぱいあるのに、それを読む時間は限られている… 可能なら片岡義男もまた読んでみたいように思います」
中仙道・和田宿の本陣跡(画像右端)
和田宿は黒曜石の一大産地でもあります。