僕が永年聴き続けている音楽アーティストに、リー・リトナー(Lee Ritenour)という米国のギタリストがいます。
彼はジャズ・フュージョンの潮流のなか、1970年代後半に「Captain Fingers」「Feel the Night」などのヒットアルバムをリリースしました。
僕と同世代の方にはご記憶があると思います。
僕は20代で彼のサウンドと出合い、それは “My-soul music”の位置づけとなって、今も飽きずに聴いています。
リトナーのギターで魅せられるところは “間” というか “つなぎ(パーシャル)” の絶妙さです。
彼は、演奏を新鮮なアドリブで満たそうとはしません。
むしろあたかも練習するように同じ旋律を繰り返し、間をとりながら、後半で一気にひねってゆく。
そういう間の取り方が全体を通して「うねり」を生んで、颯爽としたサウンドになっています。
南ア 裏切りのハーモニー
今回は新鮮味のないルートです。
なぜなら4年前にも訪れている南アルプス・奈良田温泉ですから。
でもリトナーのエレキギターのように、変わり映えのないなかにも颯爽とした気持ちにさせてくれることを期待しましょう。
なにしろ天気予報は「快晴・気温27度」です! 
と、意気揚々と自宅を発って、ススキの穂がきれいな新東名をぶっ飛ばす。
…いかんいかん、まだ「秋の交通安全週間」だった。
2015年9月29日(火) 曇りのち晴れ 気温23度
07:40に出発し10:00 新東名を新清水ICでおりると、国道を身延山に向けて走ります。
途中で若者のライダー集団、8台くらいを追い越したところで、今度は彼らに追いつかれて囲まれる。
一団となって走るのは、ロンサムとは違った楽しさ。
仲間に入れてもらったつもりで、しばらくマスツーリングの疑似体験をしてから、彼らのバイクを1台、また1台と抜かせてあげる。
その後こちらはのんびりペースで道の駅・とみざわに到着すると、さっきのライダー集団がいた。
集団から一人の若者が駆け寄ってきて「先ほどは道を譲っていただいて、ありがとうございます」と御礼を言われて、びっくり。
礼儀正しい若者もいるもので、まだまだ日本のバイク界も捨てたもんじゃない。
晴れやかな気分になる。
 晴れやかでないのは、天気のほうです。
 厚い雲が消えません。
 風がまったくないのは嬉しいけれど、風がないおかげで雲が飛ばされない。
 そこで少し“道草”をしてゆくことにしました。
 富士川の東岸に渡ると、県道10号〜9号線で川沿いを遡上します。
 県道10号線は、「味わい深い」と評判があるのです。
 片側1車線の、県道10号線(上)
 交通量はいたって少なく、信号もわずかしかありません。
 道に併走しているJR身延線は、路線の大半が単線。
 道はこの身延線とつかず離れず、また、緩やかに起伏を繰り返してゆきます。
 左手には富士川。
 そして右には無人駅や古びた鉄橋(右)が現れて、旅人を飽きさせません。
 小学校の校庭では、赤と白の帽子をかぶった生徒たちが運動会の練習をしていました。
 まさに昭和の原風景というか、懐かしい風景に暖かい気持ちになります。
 近くにある「なんぶの湯」を訪れた時には特別の感想はありませんでしたが、こうして全区間を走ってみると、確かにこの道は味わい深い。
⇒県道10号線沿いの「なんぶの湯」はコチラ
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