沓掛温泉を発つと、再び県道12号線で戸倉上山田に向かう。
気温は28度と、まずまず快適。
青空にそびえる山は、どれも信州四賀の人々の信仰する山。
天空を司る仏、虚空蔵 (こくうぞう)に守られた山々だ。
このあたりになると、12号線は道幅が広い。
だけれども、アップダウンが激しい。
途中で、12号線から55号線に入る。
この県道55号線も道幅こそ広いものの、アップダウンはいっそう激しくなる。
アクセルも多めに開けると思えば、ブレーキもめいっぱい効かせるタフな峠越え。
タイトなコーナーの連続に、気が抜けない。
そんなワインディング・ロードにもいいかげん飽きてきたところで、千曲川が目に飛びこんでくる。
きょうの宿泊場所「ルートインコート上山田」がある戸倉上山田温泉だ。
ここは千曲川を挟んで、住宅街の戸倉温泉と、歓楽街の上山田温泉が向かい合う大きな温泉街。
まだチェックインする時刻には早いし、せっかく温泉街に宿泊するのだから、もうひと風呂浴びてゆくことにする。
歓楽街を通り過ぎて、対岸にある戸倉温泉に到着する。
住宅街の中にある温泉銭湯だ。
「戸倉観世温泉」 入浴料 ¥300-
長野県千曲市戸倉2087
休日ということもあるが、近所の家族連れが普段着で来ている。
建物はそうとう古いのだが、屋内プールのような館内は、どこをとっても清潔に保たれている。
リンゴを思わせるフルーティな匂いがする。
そして広々とした浴室の中央には、タイル貼りの大きな浴槽。
そこにきれいなヒスイ色のお湯が、じゃんじゃんかけ流されている。
熱めのお湯で、41度くらいだろうか。
お湯の中には、粉のような湯の花が泳いでいる。
泉質は単純硫黄泉で、肌あたりはさらりとしたもの。
お湯からも、何ともいえない甘い清潔感のある匂いが漂う。
風呂あがりは爽やかなさっぱり感が印象的。
脱衣所の中の自動販売機で牛乳を買ったお嬢さんが、番台のお母さんと立ち話を始めている。
おいおい、ここは男性のエリアですよ。
よく見るとお嬢さんではなく、30代くらいの金髪の外人女性。
下着姿の僕は落ち着かなかったが、すっぽんぽんのおじいさんが平気で横切っていたから、これが日常の景色なのだろう。
何はともあれ戸倉温泉、いい湯でした。