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 このあと県道で砥沢という集落を通過したのですが、渓谷よりもこちらのほうが印象的でした。
 名前のとおり、砥沢は砥石の採掘で栄えた集落。
 そういえば、途中の「道の駅オアシス南牧」で砥石を売っていましたが、ティッシュ箱大で1万円と高級品でしたね。
 昭和に入ってから廃山になって、さびれてしまったようです。

 集落は南牧川に沿って細長く、緑が萌えるような森に囲まれています。
 とにかく古い民家が多い。
 またどの民家もただの住居ではなくて、作業所を併設したような独特の造りです。
 あとで調べてみると、養蚕民家の特徴である2階バルコニーが張り出した「せがい造り」というのだそうです。
 造り酒屋や宿屋もありましたが、いずれも閉ざされたまま。
 それらが南牧川を背にして、道路に立ち並びます。
 その道路が狭いことも印象的で、単車と単車がすれ違うのがやっとでは? という箇所もありました。
 まだお住まいになっている方には失礼ですが、集落全体が、アンティーク建物の博物館のようなところでした。
 砥沢の集落とお別れすると、道は長野県に入り、本格的なクネクネ道が始まります。
 高低差は少ないところで、小さなアップダウンを繰り返しながら、全体的には緩やかに下ってゆきます。
 しかし、道それ自体は、ほんとうにくねっています。
 それもくねりかたが普通ではなく、うまく説明できないのですが、それほど急な勾配でもないのに、妙につづら折りになっている箇所も多い。
 画像はそのひとつ。(↓)
 杉林のつづら折りです。
 左から走ってきて、このつづら折りを曲がって、右に脱出してゆくのですが、全体としてみればそれほど勾配がきつくないことが分かるでしょうか。
 こうして、つづら折れてなくても、それほど困らない。
 昔は街道だったので、人馬のことを考えればこういう設計だったのかもしれませんが、モータリングが発達した今では、不自然なほどのワインディング。
 
 このあと視界はだんだんと開けるようになっていきます。
 陽が当たるせいか、うっそうとした森よりも、かえって草いきれの匂いが強烈でした。