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 さいごは、愛機ごと後ろにひっくり返りそうな勾配を登りきって、ついに終着地点に到着。
 ここが終点、中房登山口。
 奥穂高岳から槍ヶ岳、大天井岳、燕岳、餓鬼岳と縦走をする登山者たちの玄関口です。
 登山家は、舞い降りるはずのない天使の姿を求めて、ここからさらに上をめざします。
 でもここまでの道のりでも、じゅうぶん神秘的な森羅万象と出合うことができました。

 登山者らしい若者が、親切に駐車場の位置を教えてくれます。
 駐車場の係のおじさんが「バイクでよくここまで来ましたねぇ。落ち葉で滑ったでしょう」と優しい声をかけてくれます。
 おじさん「駐車場は砂利で大変だから、いいからここに停めなさい」
 山男はみんな親切だ。
 三脚をセットして、記念撮影(→)
 見上げるとぐるりが山塊で、山が迫ってくる。
 この中房登山口にあるのが、中房温泉。
 1821年(文政4年)に松本藩が湯小屋を建てたのが始まりという由緒あるもの。
 それ以来、長年登山客専用の温泉でしたが、昭和8年に立ち寄り温泉「湯原の湯」を開いて、現在に至るという。
 加水なし、加温なし、循環なし、の100%源泉かけ流し。
 信州でも秘湯として有名なところです。
 駐車場から登山道を登ってゆくと、温泉があります。
 受付の朗らかな若者は、山小屋の兄ちゃんそのもの。
 脱衣所でも別の登山客が、「山も装備が大変だけど、バイクも大変ですね」と、きさくに話しかけてくれる。
 さて浴槽は、石造りの露天風呂だけという潔さ。
 積み上げた石の背後に紅葉が広がって、野趣たっぷり。
 太いパイプから勢いよく源泉が流し込まれている。
 色は透明で、わずかに青みがかったもの。
 匂いはうっすらと硫黄の甘い匂いのなかに、独特のミントを思わせる匂いが混ざっていて、気持ちのいい匂いです。
 さっそく身体を清めると、浴槽に浸かる。
 浴槽は深く、普通に座って、首まで浸かることができる。
⇒中房温泉はコチラ
「中房温泉・湯原の湯」 入浴料¥700-
長野県安曇野市穂高有明 7226
0263-77-1488
 結論から言うと、素晴らしい温泉です。
 新鮮なお湯は熱めで、つるすべ感がある。
 よく見ると、お湯の中に細かい湯の花を見つけることができる。
 泉質は単純硫黄泉(アルカリ性低張性高温泉)と一般的なものだが、効能がじわじわと身体に浸みてくるような印象がある。
 付近には珪華(珪酸の非結晶物、オパールの一種)の産地もあり、そういう効能も加わっているのだろうか。
 ここで先ほど駐車場の位置を教えてくれた若者が入ってきたので、先ほどの御礼を言う。
 若者「バイクじゃ滑って大変だったでしょう? 僕も2年前にバイクで来た時は転びそうになって。なのできょうはクルマで来ました」
 聞けば山頂の紅葉も、さいごの見頃だったそうだ。
 風呂あがりは身体がぽかぽかとして、快適快適。
 中房温泉、これほど山奥だと一般的ではありませんが、文句なくお薦めします。