温泉を発つと、もと来た道を下るだけ。
転ばないように、ゆっくり下りてゆきます。
とはいっても風呂あがりで身体がぽかぽかなことと、路面が渇いてきたこととで、案外走り易い。
愛機の、常に穏やかにエンジンブレーキがかかる特性も幸いして、無事に下りきることができました。
では、さよなら中房渓谷。
危ない要素もあったけれど、冒険の終着点に秘湯があるという、ある意味最高のルートだったかもしれない。
このあと明科まで進むと、コンビニエンス・ストアで缶コーヒーを飲んでひと休み。
明科からは国道403号線で、坂北→麻績→聖高原→姨捨→更埴と通過します。
ここで印象的だったのは、この季節の信州は15時過ぎると急に気温が下がること。
山の影に入ると気温が9度!というところもあり、入浴してから2時間も経って身体の温浴感も冷めてしまいました。
というわけで、まだ遊ぶ時刻でしたが、このまま宿泊場所に向かうことにしました。
16:30には「ルートイン篠ノ井」に到着。
篠ノ井は、越後の上杉政虎と甲斐の武田晴信とが戦った、川中島のお隣りにある街。
JR篠ノ井駅を中心にした、ひっそりとした街でした。
目抜き通りの商店街は、シャッターを下ろした商店もいくつか。
ひときわ大きい敷地の商店は、大手のコンビニエンス・ストアでした。
さいしょに目にした人影は、下校途中の中学生。
次に目にした人は、地元のお年寄り。
いっぽうクルマの往来は多くて、その運転席を覗き込む限り、壮年層はクルマで移動している
ことが伺えました。
街の観察はそこで打ち止め。
このルートイン篠ノ井は、他のルートインに比べて、宿泊料金が1,000円近く安い。
予約したときは不思議でしたが、チェックインしてみると、その謎が解けました。
このホテルはラジウム人口大浴場の備えがなく、入浴は部屋のユニットバスだけなのです。
でも素晴らしい中房温泉を堪能したあとなので、これはこれで納得。
先ほどのコンビニエンス・ストアで仕入れたお弁当をつまみに、ひとり麦酒で至福のひととき。
長野放送の天気予報をチェックします。
あしたの長野県は、朝の気温が5度って、本当かいな‥
と思いつつ、ほろ酔い気分の甘美な夜は更けてゆくのでした。
初日の総走行は、325km。
あしたはいよいよ、紅葉が見頃を迎えた松川渓谷です。