建物内の迷路のような階段を降りて、屋外に出ると、清流のわきに露天風呂があります。
立木がないので、素晴らしい眺めである。
陽射しを受けたお湯が眩しくて、眼を細めないと近づけないほど。
脱衣所は“ほったて小屋”で、左が男性、右が女性となっていて、混浴です。
洗い場はありません。
さっそく革ジャン革パンを脱いで、誰もいない露天風呂を楽しみます。
温度は適温。
色はご覧のとおり、わずかに青みがかった灰白色。
手ですくってみると、白い湯の花と黒い湯の花とが、同じくらいの量で浮いています。
甘い匂い。
泉質は含石膏食塩硫化水素泉。
肌あたりは、とにかく、ひたすらに柔らかい。
お湯はその色に惑わされて、とろりとしていると勘違いをしますが、手を泳がせてみると、むしろさらりとした感触です。
のんびり長湯をしていると、男性グループがどやどやと入ってきました。
いいかげん内風呂に移動しますか…
というわけで、適当に革パンを穿くと、革ジャンを肩にひっかけて内風呂に向かいます。
素晴らしい露天風呂だったなぁ…
しかし内風呂はもっと素晴らしかったのです。(笑)
内風呂はいったん建物に戻って、別の方角に階段を降りたところ。
浴室は、古い格式の湯小屋造り。
小ぶりの浴槽にかけ流されるお湯は緑色で、実物は写真よりももっと鮮やかなグリーンです。
内風呂には洗い場があったので、さっと身体を清めると、浴槽に足を…
熱いっ!
ご主人のいうとおり、たしかに熱い。
お言葉に甘えて、蛇口から水を勢いよく注いでうめる。
入れるほどになったところで、身体を沈める。
うーんん…
良いお湯です。
露天風呂より熱いぶんだけ、お湯の新鮮さと柔らかさが、よく分かるといいますか。
さらりとしているのに、その柔らかさも極上というか。
自分の表現力のなさに困ってしまいますが、この肌あたりの良さは、極楽そのものです。
風呂あがりに、ご主人の奥様らしき方に話しを伺いました。
奥様「楽しめましたか?良かったです。ウチは意外に『内風呂が素晴らしかった』って言っていただけるお客さんが多いですね。小ぶりなので、すぐお好きな温度になりますしね」
愛機に戻ると、身体が軽くなっているのを実感します。
五色の湯、たいへん素晴らしい。
道路も道巾が広く、クルマでも難儀することはありません。
旅の目的となり得る温泉で、文句なくお薦めします。
ただし露天風呂も内風呂も小ぶりなので、混雑しそうな休日は避けたほうがいいでしょう。