黒板には、「きょうの天ざる/ まいたけ、ワサビ葉、クレソンと桜えびのかきあげ、こごみ、ウド」と書かれています。
 奥鬼怒は山菜の産地ですから、天ざるを注文しました。
 やがて調理場から ダンッ!ダンッ! と何かを叩きつける音がします。
 手打ち蕎麦ってこねるもので、あんなに叩きつけるかなぁと、一抹の不安が…(笑)
 やがて「天ざる(¥1,300-)」が出てきました。
 蕎麦は手打ちというか、手打ちでなければこうはならないというほど麺が不揃い。
 麺の長さも一様に短く、一番長くても10cmはありません。
 つけ汁は、暖かい薄めのダシ汁でした。
 その姿に苦笑しながら、ひと口ぶんの蕎麦を汁に落として口に運ぶと…
 あはは、風味があって美味しい。
 天ぷらの山菜も自家製でしょうか、みな美味しく、またゲンコツ大でボリュームもありました。
 個人的には、まいたけとウドの天ぷらが絶品でしたね。
 食事のあいだじゅう、店内にはカジカガエルの鳴く声が届きます。
 食べ終わって蕎麦湯で汁を飲みながら、割り箸のサヤを見ると、「きのこ・山菜・鹿肉/やしお」とあります。
 でもこの日は、鹿肉のメニュウは無いようでした。
 年中無休で、ただし昼どきの4時間しか営業しない山奥のお食事処。
 素朴で、でもなぜかくつろげるお店でした。 
 奥鬼怒を発つと、奥塩原に向けて舵を切ります。
 普段ならば山を下りるタイミングですが、この日はもうひとつ山を越えます。
 そのために春秋の革を着てきたのですから。
 幸い午後になっても22度と快適です。
 県道23号線で川治までおりると、川治から日塩もみじライン(有料道路)を登ってゆきます。
 紅葉の季節でもない日塩もみじラインは、クルマもなくがらがらです。
 奥鬼怒林道ほどではありませんが、ここも勾配がきつい。
 愛機が山猫が低く唸るような排気音をたてて、もがくように急坂を登ります。
 途中で、道のシンボル「思いもみじ(右)」に到着。
 カップルでこの木の下に来て絆を確かめ合うという、ロマンチックなスポットです。
 紅葉の頃は人混みで近づくこともままならない場所ですが、きょうは誰もいません。
 ちなみにアルバムを調べたら、紅葉した「思いもみじ」が出てきました。
 命名される以前となりますので、昔から目を引く色合いのもみじだったんですね。
 かつての愛機Buellが懐かしい。
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「やしお」 0288-97-1778 栃木県日光市若間832-1